ロゴマーク:みんミ みんなでミュージアム

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目次:活動の記録

【活動紹介】当事者コーディネーターとの協働〜川崎市立日本民家園〜

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  • 報告レポート

2024.12.24(火)

2024年11月、川崎市立日本民家園においてボランティア団体「炉端の会」のメンバーを対象にボランティア研修を実施しました。

川崎市立日本民家園は、「急速に消滅しつつある古民家を永く将来に残すことを目的に、昭和42年に開園した古民家の野外博物館です。東日本の代表的な民家をはじめ、水車小屋・船頭小屋・高倉・歌舞伎舞台など25件の建物をみることができ」*る施設です。

研修に協力したミュージアム・アクセス・コーディネーター(以下、コーディネーター)は、視覚障害のある木下路徳(きのした・みちのり)さん、聴覚障害のある柴田留理(しばた・るり)さん、車いすユーザーの遠藤一秀(えんどう・かずひで)さんの3人。

当日は、「炉端の会」メンバーのみなさんとコーディネーターが一緒に園内を巡りながら、日本民家園へのアクセスのしやすさ、展示や場所そのものをどうすれば一緒に楽しめるかについて、ともに考えました。

木下さんが、民家園の「炉端の会」メンバーから説明を聴きながら、建物の柱を触っている様子

コーディネーターと民家園の「炉端の会」メンバーが屋外のスペースで集まって研修を受けている様子

柴田さんと手話通訳者、民家園の「炉端の会」メンバーが会話している様子

今回、研修の記録係として協力してくれたミュージアム・アクセス・パートナーの吉村優一(よしむら・ゆういち)さんは、聴覚障害のコーディネーターと視覚障害のコーディネーターのグループに同行しました。特に、ボランティアメンバーと聴覚障害のあるコーディネーターの取り組みを中心に、コメントを寄せてくださいました。

みんミ:アクセシビリティに関するボランティア研修で印象に残ったことと、その理由を教えてください。

〇ボランティアの皆さんの「伝えたい」という気持ちが強く感じられたことです。ボランティアをされているぐらいなので、説明することや人と関わることが好きなのでしょう。コーディネーターに積極的に話しかけていました。説明の内容が、うまく伝わりづらい時もありました。
例えば、固有名詞は聞き取りにくいです。
(わたしは聴者ですが。仕事で受けた電話で、相手の名前や所属先が聞き慣ないものだったりすると、聞き返したりすることがあります。)
難聴者のコーディネーターの時に、固有名詞がうまく伝わらない時がありました。
そういった時に、コーディネーター自身が固有名詞は聞き取りづらいこと。また、固有名詞などを伝える際、空書き(指で文字を空中に書くこと)という方法があること。カタカナで書くと分かりやすいといったポイントなどを伝えていました。

これは、とても良いことだと思います。もちろん専門的な技術などもあるにこしたことはないですが、「相手に伝えたい」とか「相手を知りたい」という気持ちも同等以上に大事だと思うからです。

みんミ:新しい気づきや学んだことはありますか?

〇建築物でもある文化財は、一般的な美術館とは異なる部分があるということです。
「展示」するために設計された空間ではないため、建物内部が薄暗いことがありました。
そのため、口話(補聴器などを使った残存聴力と、話し手の口の動きや表情を読み取る読話などを用いるコミュニケーション)や手話が見づらいだろうな、という場面がありました。

ボランティアから「説明は口元や手元が見えやすい屋外で行うという方法もあったかも」、という話もありました。他にも、スマホに打ち込む(画面の明るさを上げ、アプリ「文字拡大メモ」などの使用)、懐中電灯やランタンなどを準備するといったこともできるかと思います。今回の研修を生かして、できる範囲で準備がなされていくと良いように思いました。

室内の振り返りの時間でみんミプロジェクトメンバーが話しており、隣で手話通訳者が通訳している様子

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■実践の経緯
民家園の課題みんミからの提案
障害のある人とともに、日本民家園での展示や体験を共有し、新たな方法を模索する。

■研修概要

目的
障害のある人や多様な立場の人々が「ともに」日本民家園を訪れ、古民家やその場所自体を一緒に楽しむ方法を考える。

当日の流れ

全体集合
研修の説明と自己紹介

見学1
3つのグループに分かれ、各グループがコーディネーターとともに異なる古民家(鈴木家、三澤家、佐々木家)を見学
休憩(全体集合)

見学2
各グループのコーディネーターを交代し、新たな古民家を見学

振り返り・意見交換
全体で見学中の気づきを共有し、課題やアイデアを交換

研修終了

 

*川崎市立日本民家園公式サイトより引用。
https://www.nihonminkaen.jp/facilities.html(2024年12月2日参照)

コメント寄稿:吉村優一(ミュージアム・アクセス・パートナー)
執筆・編集:梅田亜由美(みんなでミュージアムプロジェクトメンバー)
写真:©︎TOKYOTENDERTABLE