「みんなでミュージアム」(略称・みんミ)は、美術館や博物館に行きづらいと感じる人が、もっと自由にミュージアム※にアクセスできること、どんな人も、より豊かなミュージアム体験ができること、そんな仕組みや方法をみんなで学び合い、考えていくプロジェクトです。
※ミュージアム(博物館)とは、美術館をはじめ資料館、科学館、動物園、水族館など資料の収集や保管、展示を行う施設。歴史、芸術、民俗、産業、自然科学などさまざまな分野を含みます。
展示を見たり、ショップやカフェを利用したりなど、ミュージアムを楽しむサポートをする人。
障害のある人をはじめ、個々のニーズによってミュージアムの楽しみ方はさまざまです。好きなときに行きたいミュージアムに出かけられるよう、依頼する人の希望に沿って「みんミ」が適切なパートナーを紹介します。
例:手話での鑑賞ガイド、視覚に障害のある人との対話鑑賞、在宅者向け訪問支援の情報提供、アクセスや利用のフォローなど。
ミュージアムのアクセスを支援し、ともに考える人。
誰もが安心してミュージアムを利用できるよう、適切な配慮と環境づくりをすすめます。「みんミ」ではミュージアムの希望に沿って、コーディネーターを紹介します。
例:より良い環境づくりや情報保障のアドバイス、作品鑑賞方法の提案、ミュージアムスタッフの研修など。
さまざまな人とミュージアムの鑑賞を楽しむ環境形成の工夫や、だれもが参加できるイベントやプログラムの情報。
「みんミ」は、これらの情報を集約し、すでに取り組まれている全国の活動を積極的に発信していくことを目指します。
「みんミ」は、ミュージアムに行きたい支援を必要とする人とミュージアムを中立的な立場でつなぎ、活動を支援する仕組みづくりや試行的な実践を重ね、その成果を全国に普及・展開するために、5年計画で取り組む事業です。
2021年度
2021年にスタートした「みんミ」は、「人」と「システム」に焦点を当てた2つのワーキンググループを立ち上げ、ヒアリング調査を行いました。調査から明らかになった現状の課題やニーズから、必要な人やシステム、プロジェクトの役割を構想しました。
次の2つのワーキンググループを立ち上げ、「事業化検討会議」として年間27回のミーティングを行い、それぞれの視点から現状と課題、ニーズを把握することで、「みんミ」の役割を考えていきました。
「みんミ」の活動として何が必要かリサーチし、活動に必要な資質、能力、人員等を検討する人材グループ
プロジェクトの活動を機能させるシステムの構築、およびビジネスモデルの形成を検討するシステム構築グループ
障害当事者と鑑賞の支援者、ミュージアム関係者(2021年度は美術館に限定)、中間支援組織、ビジネスモデル組織へヒアリング・インタビューを実施し、ご意見や事例を伺いました。
ヒアリングとインタビューにより明らかになった課題の解決に資する分野の方を有識者としてお招きし、ワーキンググループにて意見交換を行いました。
アドバイス協力
2022年度
活動の2年目は、ミュージアムに行きたい支援が必要な人とミュージアムをつなぐ方法を検討するため、ミュージアムとの実践型協働を行いました。また、「みんミ」に関心をもつ人との交流の場や、活動をともにする仲間づくりのため、1年を通してオンラインプログラムや相談支援に取り組みました。
活動内容ごとにチームを構成し、コミュニケーションツールを活用しながら活動を進めるとともに、月1回のペースで年間11回のミーティングを実施し、「みんミ」の方針を考えてきました。
みんなでミュージアムプロジェクトメンバー
多様な人を受け入れたいミュージアムと、ミュージアムに行きたいけれど行きづらい人。その双方をつなぎ、持続可能な方法を考え、より良い環境をともにつくっていくために、首都圏(東京・埼玉)・京都・宮城にて事業モデルに取り組みました。また、必要な人材像を明らかにし、人材育成の研修に向けたプログラムを検討するために、有識者を交えた会議を実施しました。
「みんミの“わ”」は、各地の活動を紹介し、集う人の交流を目的とするオンラインプログラムです。
参加者が同じ輪のなかで自分の気づきや感じたことを安心して伝えあえる、フラットな場を目指しています。障害のある人やその支援者、多分野のミュージアム、福祉・教育関係者、企業、行政、学生など、さまざまな立場の人が専門性を超えて学びと交流をともにしました。
「みんミの“わ”」:6回
シンポジウム:1回
文化芸術の領域で実践的な活動を行う団体や協議会との連携のため、各機関の代表や専門家とともに計4回の意見交換を行いました。
2023年度
活動の3年目は、パートナーとコーディネーターの育成に取り組むと同時に、システムの運用開始期として、事業モデルとなる実践事例等をもとに事業の基盤整備に取り組みました。また、全国への波及に向けたネットワークの構築に着手しました。
ミュージアムに伴走し、誰もが安心して利用ができるように適切な配慮と環境形成をすすめるミュージアム・アクセス・コーディネーター(以下、コーディネーター)の研修を行いました。ミュージアムの課題を抽出し、コーディネーターの役割を試験的に体験することで、人材の育成につなげることを目指しています。
ミュージアムに行きたい障害のある人やその支援者に伴走してミュージアム体験をともにつくるミュージアム・アクセス・パートナー(以下、パートナー)の役割の検証と、その育成を目的とした実践を行いました。
活動内容ごとにチームを構成し、コミュニケーションツールを活用しながら活動を進めるとともに、月1回のペースで年間12回のミーティングを実施し、活動方針を考えてきました。
みんなでミュージアム プロジェクトメンバー(外部3人、事務局8人)
「みんミの”わ”」は、さまざまな立場の人が日本全国からオンライン上に集い、参加者同士の交流とネットワークづくりを目指して、2022年度から継続的に開催しているプログラムです。約2時間のプログラムでは、事例共有や情報交流のほか、障害のある当事者やその支援者、ミュージアムの学芸員や学生など幅広い参加者がそれぞれの立場を超えて語り合い、お互いの経験の共有を通して学びや考えを深めています。
「みんミの“わ”」:4回
シンポジウム:1回
文化芸術の領域で実践活動を行う類似した団体や協議会との連携のため、各機関の代表や専門家に働きかけ、情報発信やミュージアム・アクセス事業の環境形成にかかる提言活動を継続しています。