ロゴマーク:みんミ みんなでミュージアム

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目次:活動の記録

【レポート】第10回オンラインプログラム「みんミの“わ”」

  • みんミの“わ”
  • 報告レポート

2024.09.09(月)

2024年度1回目のみんミの”わ”となる第10回では、みんなでミュージアムが企画協力をしたプログラムを取り上げました。
鑑賞プログラムの様子を参加者の皆さんにも感じていただきたく、前半で当日のファシリテーターをゲストにお話を伺い、後半では実際に鑑賞プログラムの疑似体験しました。

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第10回みんミの“わ”の題材となった《第8回横浜トリエンナーレ アクセスプログラム「オンラインで楽しむ妄想モクモク鑑賞会」》は、実際に横浜トリエンナーレ(以下、横トリ)へ行くことが難しい人、発達障害や精神障害のある人などをはじめ、横トリを楽しみたいすべての人を対象としたオンラインプログラムとして企画されました。
住む場所や暮らし方の違ういろいろな人と一緒に、作品の写真を見ながら、妄想をモクモク繰り広げ、目に見えるものだけに限らない鑑賞プログラムです。

▶横浜トリエンナーレでの鑑賞会のレポートはこちら
【レポート】「オンラインで楽しむ妄想モクモク鑑賞会」を終えて

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【みんミの”わ”第10回】横トリでファシリテーターデビュー! 〜横浜トリエンナーレのオンラインで楽しむアクセスプログラムを振り返る〜
2024年6月30日(日)14:00〜16:00 オンライン(Zoom)開催
申込数:28名
ゲスト:カミジョウミカさん、天水みちえさん

〈情報保障〉
手話通訳:石川 阿、村山 春佳
文字通訳:チームW・研修センター

スライドを投影して、横トリでのオンライン鑑賞会の実施について説明する様子

 

○前半:座談会
鑑賞会を担当したファシリテーターの天水みちえさん、カミジョウミカさん、みんミ プロジェクトメンバーの梅田さんと平澤さんによる座談会では、当日の様子や感じたこと・大切にしたことなどを振り返りました。

 

-ゲスト紹介
ゲストは福島県在住の天水みちえさんと、長野県在住のカミジョウミカさん。
おふたりとも、横トリの「妄想モクモク鑑賞会」で初めてファシリテーターとして活動されました。
日頃よりイメージを膨らませて作品の世界を広げていくアーティストなので、参加者をリードしつつ、妄想を膨らませる起爆剤のような役割を担ってくださいました。

後から分かったのですが、実は同世代だったおふたり。
オンラインで会う機会を重ねながらいい関係性を築いていただき、あたたかくちょっと友達っぽい雰囲気で場が進んでいきました。

 

-鑑賞会の内容紹介

◇横トリの鑑賞作品について
合計3作品のうち、
2作品は動かない静止画(立体作品を写真に収めたもの)を鑑賞。
1作品は5分程度のアニメーション作品を鑑賞。途中でアニメーションを止めて、後半どうなっていくだろうかということをみんなで妄想して、その後もう一度全体を通してみるという鑑賞をしました。

◇鑑賞のコツ、《妄想モクモク3箇条》の紹介
他者と話をしながらの鑑賞プログラムは「対話型鑑賞」がありますが、今回のキーワードは「妄想」です。
厳密に作品の良さや解釈を深めるところではなく、どうやったらオンライン上の参加者が、心を緩めて妄想モクモクできるかな、というところに視点を置き、妄想をモクモクさせるための3箇条を案内しました。

妄想モクモク3か条が書かれたスライドを平澤さんが説明する様子

1.自由に妄想しよう
妄想のプロであるファシリテーターのふたりからコツを伺います。
・一旦、日常生活や今思っていることのスイッチを切って脳内を空っぽにすること
・真っ白な画面を見るように作品に集中して妄想をモクモクすること
が妄想のコツだそうです!

2.自分と違う感じ方・考え方をたのしもう(相手のステキ!ポイントを見つけよう)
出てきた意見に対して、違うと感じたところに意見を重ねていく方法もありますが、今回はそういう発想や妄想もあるんだなと受け入れて、自分の妄想を広げることを大事にすることをお伝えしました。

3.作品への質問は 鑑賞の後で
作品を前にして、頭とか心をまっさらにして、鑑賞してもらうことを目的にしているため、作品のタイトルや作家名、作品がどんな背景で作られたか などは最後に共有しました。

 

◇ファシリテーターにとって妄想ってどういうもの?
幼児期から一人遊びとして妄想や空想を続けているというカミジョウさんからは、
「妄想をすることはもうずっと根付いていて、食事をすることと同じです。本当にこれをしない時間はありません。一人での妄想だと限定されてくるけれど、誰かと一緒に妄想すると、妄想がミックスされて相乗効果がたくさん生まれると感じました。」良い妄想をするコツは《睡眠をよく取ること》だそうです!
統合失調症をもつ天水さんからは、
「妄想=統合失調症の症状である被害妄想 に連想し、とてもネガティブなものだと思っていました。けれど、妄想する行為と鑑賞する行為を掛け合わせることで、自由な発想を膨らませ、展開させて楽しめるポジティブな行為に変化することができ、私の中での“妄想”という響きは楽しいものに変わりました。
一人ではなく様々な人と妄想して鑑賞していくことは、多種多様な人たちを受け入れられる心を作っていくことに繋がっていくんじゃないかな、と思いました」
とお話がありました。

妄想を繰り広げる鑑賞体験、というと、新しいことをやったようですが、個々がひっそりと日常的にやっていたものを、場の中で共有してみた結果、他者を受け入れ想像を深める豊かな行為となっていました。

 

 

○後半:疑似鑑賞会
カミジョウさんが妄想をモクモクさせて作った作品を、みんミの“わ”参加者みんなで一緒に妄想をモクモク膨らませて鑑賞をしました。
鑑賞前に、天水さんから「私たちは普段から突飛な発想をしているので、何でも受け止められます。安心して発言してください」との言葉もあり、参加者の妄想もどんどん広がっていきます。

カミジョウミカさんの作品を参加者全員で鑑賞している様子

「左上のものが猫のアイスに見えます!スイカっぽい味かな?」

「私も見えました!
でも赤く、少し緑も混ざった猫の顔とぎょろりとした丸い目、葵耳の輪郭線からだんだんと『桃太郎』に出てくる鬼が島にも見えてきました。」

「後ろの方のくるくる、ぐにゃぐにゃは、ベルトコンベヤーのように見えてきて、工場の中に鬼と赤い顔の生物がいるように見えてきました!」

などなど

 

前半のお話を聞いてでてきた参加者からの質問には、
「ある人の妄想が別の人の妄想を呼ぶような連鎖反応(?)のようなこともありましたでしょうか?」というものもありましたが、後半に実際に体験していただき、意識しないうちに連鎖反応に巻き込まれることを体感いただきました。

 

 

今回は、無理に言葉を紡がなくても良い鑑賞会(場)であることの大切さや、「話せなくても他者の妄想を理解しようとすることで自分の妄想も広がっているから十分だ」、というお話もあり、天水さんとカミジョウさんお二人が生み出すゆるやかな雰囲気の中で、妄想がもたらす豊かさを考える時間となりました。

レポート:原衛 典子(みんなでミュージアム事務局スタッフ)

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