ロゴマーク:みんミ みんなでミュージアム

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目次:活動の記録

活動紹介動画に音声ガイドをつけました―「見えている」を言葉にする制作の裏側―

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  • 報告レポート

2026.06.30(火)

みんなでミュージアム(以下、みんミ)は、2023年度・2024年度に活動紹介動画を公開しました。この度、動画に新たに音声ガイドをつけました。

音声ガイドとは、映画をはじめ映像に映っている人物や場面の変化、文字情報など、音だけでは伝わりにくい視覚情報を言葉で描写・伝えるものです。音声ガイドは、映像と一緒に制作されることが理想ですが、今回は公開済みの活動紹介動画を活用し、後から音声ガイドを付けることに挑戦しました。

制作にあたっては、株式会社音声ガイドットさんにご協力いただきました。

1. 音声ガイド制作の流れ

制作は次のような流れで進みました

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みんミ事務局から音声ガイドットへ映像・音声テキストの共有

音声ガイドットにて、音声ガイド初稿の作成

みんミ事務局で確認ー音声ガイドットへ戻し

モニター検討会

原稿修正

ナレーター収録

音声ガイドつき動画 完成
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2. 音声ガイドは「ちょうどよさ」を探す仕事

制作工程のなかでも、多くの気づきがあったのがモニター検討会でした。

モニター検討会では、音声ガイドットの皆さんと、視覚障害のある風船さんと一緒に映像を見ながら、「この説明は必要か」「この表現はどうか」と、一つひとつ言葉を確認していきました。そのやり取りを通して、私たちが「見えている」と思っていたものが、必ずしも音では伝わっていないことに気づかされました。

音声ガイドのクオリティチェック会議中の写真。事務所の机を囲んでナレーションの内容を話し合っている。


音声ガイドのクオリティチェック会議中の別角度からの写真。事務所の机を囲んで確認している。机には機材と原稿が並んでいる。 モニター検討会の様子。左から、音声ガイドット・鳥居さん、風船さん、原さん、みんミスタッフ。映像を確認しながら、一つひとつの言葉を検討していきました。

■見えている情報は、音では伝わらない

冒頭、画面にはみんミのロゴアニメーションが流れます。初稿では、その場面を「みんなでミュージアム、みんミ」とガイドしていました。しかし風船さんからは、「『みんミ』が何なのかわからない」という声がありました。映像として見れば一目でロゴだとわかる場面も、音だけではなにか判断できません。「ロゴであることを伝えた方がいい」という一言で、説明の出発点がどこにあるのかを考え直すことになりました。

人物の紹介についても、同様の気づきがありました。「この人は男性ですか?声からだと男性を想像していた」という問いに、「女性です」と答えると、「では女性と入れて」。映像では一瞬で伝わる情報が、音だけでは届いていないことを実感した場面でした。

さらに、ある場面では「2人だけなの? 何人かいるように聞こえた。盲導犬を連れているの?」という質問もありました。実際にはパートナー、エデュケーター、スタッフがその場にいます。「声は入っているよね」「声は聞こえるけれど、画面には十分映っていない人です」というやり取りを経て、「その場にいる人の説明はあった方がいい」という結論になりました。説明の対象として意識すらしていなかった情報が、音で聴く人には場の全体像をつかむための手がかりになっていたようです。また、風船さんから「映っている場面の説明よりも、誰がいるかを全体で先に伝えた方がいいかもしれない」という示唆もありました。何を優先して言葉にするか——この問いは、音声ガイドの設計そのものに関わるものでした。

一方で、言葉そのものについても検討が重ねられました。ある場面で使われていた「振り返り」という表現に対して、音声ガイドットからは「それだと後ろを向く動作に聞こえてしまう」という指摘がありました。みんミでは普段から自然に使っている言葉でしたが、音声ガイドでは別の意味として受け取られることがあります。このやり取りは、言葉一つで映像の受け取られ方が変わることを実感する機会となりました。

■何を、いつ伝えるか


こうした検討を重ねるなかで見えてきたのは、「説明を増やせばよい」ということではない、ということです。動画には参加者の声やインタビュー、会場の音など、もともと大切な情報が含まれています。説明が多すぎると、それらを妨げてしまいます。また、映像なら一瞬で伝わる文字情報も、音声では読むための時間が必要になります。限られた尺のなかで、何を読み、何を読まないか。何を優先して伝えるかを考え続けることが求められます。

さらに検討を進めるなかで気づいたのは、音声ガイドは既存の音を「妨げない」だけでなく、「活かす」ためにも機能します。画面には十分映っていないスタッフの声が後から聞こえる場面では、その5秒ほど前に「そばにスタッフ」という一言を入れておく。声が聞こえたときに、その人の存在がすでに伝わっているようにするためです。一方、「これが触りたかった」というひと言の直後に「〜を触る」というガイドを入れることで、発言の余韻を残しながら動作を補足する。何を読むかだけでなく、どこで読むかによっても、映像の伝わり方は大きく変わることを実感しました。

 

ナレーター収録

収録をした音楽スタジオの室内の写真。スピーカーなどの機材があり、奥の録音ブースの扉が閉まっている。


音楽スタジオのスタッフが機材画面で音声を確認している写真。 収録スタジオにて、音声ガイドの録音を調整している様子。

モニター検討会での意見を反映した原稿は、スタジオでナレーターによって収録されました。今回は、その収録にも立ち会う機会をいただきました。

ナレーターは、ぷろだくしょんバオバブ所属の横田成吾さんにご担当いただきました。落ち着いた語り口が、みんミの活動にもよくなじんでいました。

収録は大きく二つの工程に分かれていました。前半はナレーター・横田さんによるガイドの録音です。音声ガイドットは、映像の中の音や声に被らないように、また、「バギー」「少年」「女性」など、描写の対象がきちんと伝わるように、言葉の立て方や抑揚について細かくディレクションを行っていました。

後半は、録音した音声を映像に合わせていく作業です。ナレーションを入れるタイミングや音量を一つひとつ調整し、映像全体とのバランスを確認し、音声ガイドが映像と自然になじむよう丁寧に仕上げられていきました。

原稿の作成、モニターとの対話、ナレーターへのディレクション、編集という工程を重ねながら、その動画にとっての「ちょうどよさ」を探し、音声ガイドを少しずつ映像になじませていきます。収録現場を見学したことで、音声ガイドは原稿だけで完成するものではなく、多くの人の手を経て初めて作品の一部になることを実感しました。

おわりに

音声ガイド制作を通じて印象に残ったのは、大きな工夫だけでなく、小さな言葉の積み重ねが、動画の届き方を変えていくということでした。

ロゴであることを伝える。人物の手がかりを添える。場面の切り替わりを知らせる。何を読み、何を読まないかを考える。

一つひとつは小さな調整ですが、そうした積み重ねによって、音声ガイドつき動画は完成しました。今回の制作は、「見えていること」を音に置き換える作業ではなく、「何を伝えれば、その場の様子が伝わるのか」を、視覚障害のある人と音声ガイドットと一緒に考え続けるプロセスでした。

今回の制作にあたり、初稿の作成からモニター検討会、収録、編集まで丁寧に伴走してくださった株式会社音声ガイドットの皆さま、そしてモニターとして率直なご意見をお寄せくださった風船さんに、心より感謝申し上げます。

ぜひ音声ガイドにも耳を傾けながら、「みんなでミュージアム」の活動をご覧いただければ幸いです。

 

【音声ガイドつき】みんなでミュージアム 活動紹介2023

【音声ガイドつき】みんなでミュージアム 活動紹介2024

音声ガイド制作・監修:株式会社音声ガイドット
音声ガイドナレーター:横田成吾(ぷろだくしょんバオバブ

 

執筆:鹿島萌子(みんなでミュージアム事務局)
写真:みんなでミュージアム事務局