ロゴマーク:みんミ みんなでミュージアム

ロゴマーク:みんミ みんなでミュージアム

ロゴマーク:みんミ みんなでミュージアム

ロゴマーク:みんミ みんなでミュージアム

目次:活動の記録

【報告レポート】地底の森ミュージアムボランティア育成講座・専門研修

  • NEW
  • 報告レポート

2026.03.25(水)

はじめに

2026年2月26日(木)、宮城県仙台市にある「地底の森ミュージアム(仙台市富沢遺跡保存館)」にて、ボランティア向けの研修会を行いました。

地底の森ミュージアム(以下、地底の森)は、旧石器時代をテーマにしたミュージアムです。ミュージアムが建っている場所「富沢遺跡」で見つかった、約2万年前の人間の活動の痕跡や森林跡をそのまま保存し、公開するユニークな展示方法は、全国的に注目を集めています。

 

地底の森ミュージアム(仙台市富沢遺跡保存館)外観

地底の森ミュージアム(仙台市富沢遺跡保存館)外観

 

地底の森の学芸員の方から、地底の森や姉妹館のミュージアムで活動するボランティア向けに、合理的配慮の基本について学ぶ研修会の相談がありました。それを受けて、みんなでミュージアム(以下、みんミ)は研修会の企画運営に伴走しました。

研修の内容についてヒアリングする中で、近年、放課後等デイサービスを運営する団体の訪問が増えていることから、障害のある児童・生徒とのコミュニケーションのポイントについても知りたいというニーズを伺いました。

そこで、仙台市で放課後等デイサービスや居宅介護事業所を運営し、知的障害や発達障害、重症心身障害のある子どもたちと活動するNPO法人UBUNTU(ウブントゥ)をつなぎ、一緒に研修会の講師として参加しました。

 

当日の様子

前半はみんミのスタッフから、「合理的配慮」の基本的なレクチャーとその大事な考え方やみんミの取り組みについてお話ししました。

みんミのレクチャーの様子

みんミのレクチャーの様子

参考資料として、みんミも制作に協力した国立アートリサーチセンター発行の『ミュージアムの事例から知る!学ぶ!合理的配慮のハンドブック』を活用しました。このハンドブックでは、実際にミュージアムで起こった事例をもとに、障害のある人からの要望に対してどのような対話を経て合意に至ったか、そのプロセスがわかりやすく紹介されています。

研修に参加したボランティアの方には、ミュージアムのスタッフ役と障害のある人役にわかれて、事例で紹介されているやりとりの対話を読み上げてもらいました。

研修に参加するボランティアの方が事例を読み上げる様子

研修に参加するボランティアの方が事例を読み上げる様子

 

後半は、UBUNTUのみなさんにバトンタッチ!今回は、UBUNTUスタッフの菅谷さんと荒井さん、また、UBUNTUの福祉サービスを利用する小助川さんの3名に登壇いただきました。手話でコミュニケーションをする荒井さんと小助川さんとお話しできるよう、手話通訳がつきました。

まず菅谷さんから、普段の活動や大切にしていること、障害のある児童や生徒とのコミュニケーションのポイントについて、動画や写真をまじえてお話しいただきました。

左からUBUNTUの菅谷さんと小助川さん

左からUBUNTUの菅谷さんと小助川さん

会場のスクリーンには、活動の中でさまざまな場所にでかけ、スキーや山登り、プールなど全身をつかってアウトドアを楽しんだり、頭に筆を巻きつけて頭を動かすことで絵を描く様子などが映し出され、会場からはたびたび驚きの声や笑いがもれました。

菅谷さんが「失敗する権利、つまらなかった、面白くなかった、それも大事な経験」と話すように、リアルな体験を大事にしているということが、動画や写真からたくさん伝わってきました。

さまざまな体験についてお話しする菅谷さん

さまざまな体験についてお話しする菅谷さん


その後、ボランティアのみなさんが感じている疑問、

「どこまで説明を理解しているのだろう?」
「ことばや表情で見ても楽しめているのだろうか?」
「身体を自分で動かせない場合、どうしよう?」

といった声に対して、工夫や考え方のポイントをお話しいただきました。

例えば、活動紹介の動画にあった科学館にでかけたときの様子から、子どもが展示のしかけを見た後、しばらくぽかんとした表情をから、目を見開いて驚くという表情の変化があったことを取り上げ、「状況を理解するまでに時間がかかる人もいるので、本人がリアクションするまで待ってみる」という提案がありました。

また、五感で感じてもらう工夫として、地底の森であれば、地下展示室の広い空間を訪れたときに「広いところに来たね」「少しひんやりするね」といった声かけで、空間の広さや温度、明暗などの気づきのきっかけにもなるかもというお話しがありました。

最後に小助川さんが、普段のお仕事について手話でお話しされました。機械が大好きな小助川さんが見つけた仕事は、書類のシュレッダーかけや、名刺のスキャン作業など。菅谷さんは、「障害のある人が限られた選択肢から仕事を選ぶのではなく、本人のやりたいこと、得意なことから仕事を探す」ことを当たり前にしたいと話されました。

意見交換・質疑応答の時間では、会場から寄せられた質問に、みんミのスタッフとUBUNTUのみなさんが答えていきました。

数年前、UBUNTUのみなさんが地底の森ミュージアムに行ったときの様子についてたずねる質問について、荒井さんは、地下展示室の空間で普段の子どもたちの経験では見られない表情が見られたことを印象深く振り返りました。

地下展示室で解説ボランティアをしている方からは、子どもたちに話しかけるタイミングについて質問がありました。以前、話しかけたときに怒った反応が返ってきた経験もあったそうです。それに対して、荒井さんや菅谷さんは、怒ったり、泣いたり感情が出てくることは前向きに捉えて良いこと、「なにが怒るきっかけになったんだろう?と対話することで、その子を知っていくきっかけになると思うので、話しかけることは悪いことではないですよ」と回答されました。

左からUBUNTUの荒井さん、菅谷さん、小助川さん

左からUBUNTUの荒井さん、菅谷さん、小助川さん

質疑応答・気づきの共有の様子

質疑応答・気づきの共有の様子

ほかにミュージアムの方からの質問では、障害のある人から要望が来ないという悩みもありましたが、こうした研修の機会で障害のある人と直接出会うことも、要望やミュージアムへの来館、プログラムへの参加のきっかけになるのではないかと感じました。

UBUNTUのみなさんの実体験をもとにしたお話によって、研修参加者が障害のある人に対して身構えてしまう気持ちをほぐしていくような研修になったと感じています。

みんミでは、またミュージアムからの研修依頼があったときは、障害のある人や障害のある人と活動する人たちの声を一緒に届けることを大切にしたいと思います。

参加者の声

  • 障害を持つ方とどの様にコミュニケーションをとるのか、今まで深く考えたことがなかった。“できる事”にフォーカスする事、同伴の方に情報をいただく事など、新しい視点をいただけました。
  • とても勉強になりました。あまり堅苦しく考えなくてもいいんだ、と安心しました。参加してよかったです。
  • 障害者の方への対応が大変に勉強になりました。だれでもミュージアムを目指していきたいと思います。平等と公平の違いの説明がわかりやすかった。
  • 具体的な例や体験を多くきくことができてよかった。

 

研修主催:地底の森ミュージアム(仙台市富沢遺跡保存館)
レポート:高橋梨佳(みんなでミュージアム事務局)