【活動紹介】鑑賞事業の取り組みについて
2022.11.22(火)
2021年にNPO法人エイブル・アート・ジャパンが活動をスタートした「みんなでミュージアム(愛称:みんミ)」。ここでは、これまでに団体が取り組んできた鑑賞事業の取り組みや、プロジェクト設立の背景を紹介します。
NPO 法人エイブル・アート・ジャパンについて
公式サイト:https://www.ableart.org/
【設立】1994年任意団体設立/2011年NPO法人化
【拠点】東京事務局(東京都)、東北事務局(宮城県)
【設立趣旨】障害のある人をはじめ、生きにくさを抱えている人たちとともに、障害の種別や有無をこえて、芸術文化活動を通して、自らを自由に表現する場やしくみをつくること、作品を発表し、販売する環境を整えること、美術作品や舞台芸術作品などに さまざまな手段を用いてアクセスするための機会と環境を整える。
エイブル・アート・ジャパンの主な活動
■障害のある人とない人がともに活動するアトリエ&スタジオ活動(NPO自主事業)
【東京】
①アトリエポレポレ
・開始時期:1995年~現在
・開催規模:20 人
・開催頻度:月2回実施
・参加者:おもに知的障害
②エイブルアート芸術大学
・開始時期:2011年~現在
・開催規模:20 人
・開催頻度:月1回実施
・参加者:おもに精神障害・発達障害
【宮城】
①アトリエつくるて
・開始時期:2018年~現在
・開催規模:20 人
・開催頻度:月1回実施
・参加者:おもに知的障害・精神障害・発達障害
②みんなでつくるよ!広場の人形劇
・開始時期:2018年~現在
・開催規模:20 人
・開催頻度:月1回実施
・参加者:おもに知的障害・精神障害・発達障害
■障害者の芸術作品の販売/著作権等の整備・保護と市場化(NPO自主事業)
エイブルアート・カンパニー 公式サイト:https://ableartcom.jp/
1999年に全国で初めて障害者の著作権等の整備に関するガイドライン策定。2007年から、障害のある人のライセンスビジネス「エイブルアート・カンパニー」事業をスタート。障害とアートを軸に活動している3つのNPOが共同で運営している。
作品データベースの公開
登録作家:120人(全国29都道府県)
登録作品数:1万2千点超
■SOUP(障害者芸術活動支援センター@宮城)
公式サイト: https://soup.ableart.org/
SOUP(スウプ)は、宮城県における「障害者芸術活動支援センター」の愛称。障害のある人の表現活動を支えるために必要な支援とは何か。障害のある人の芸術文化活動の更なる振興を目指して、福祉・文化・教育の分野と連携して活動している。
・平成26/27/28年度:厚生労働省補助事業「障害者の芸術活動支援モデル事業」(於:宮城県)
・平成29年度:厚生労働省「障害者芸術文化活動普及支援事業」(於:宮城県)
・平成30/令和元/2/3/4年度:「宮城県障害者芸術文化活動支援業務」
・令和3/4年度:厚生労働省「障害者芸術文化活動普及支援事業」南東北・北関東広域センター
■鑑賞事業(おもに美術分野)
・1999年
東京都美術館で展覧会「エイブル・アート ’99このアートで元気になる」展を開催。関連プログラムとして、「目の見えない人と観るためのワークショップ―ふたりでみてはじめてわかること」を実施。この取り組みから、視覚に障害のある人とない人が、ともに言葉で美術を鑑賞する市民グループ「ミュージアム・アクセス・グループMAR」の活動が発足。
・2008年〜2012年
誰もが心地よく利用できるミュージアムを目指す「みんなの美術館プロジェクト」の運営。インクルーシブ・デザインの手法でさまざまな人たちとワークショップを行い、ミュージアムの魅力や課題を探りながら、どんな人でも快適に過ごせるミュージアムのあり方や可能性をデザインする取り組み。横浜市民ギャラリーあざみ野、横浜美術館等と協働。
・2011年~現在
「美術と手話プロジェクト」運営
公式サイト:http://art-sign.ableart.org/
聴覚に障害のある人のミュージアムへのアクセスを考える取り組み。
東京都庭園美術館(「ガレの庭」展、2016)、東京都現代美術館(「ひろがる地図」展、2019)、茅ヶ崎市美術館(「美術館までつづく道」展、2019)、京都国立近代美術館(「ドレスコード」展、2019)などで鑑賞プログラムを企画・実施。
・2019 年
文化庁令和元年度障害者による芸術文化活動推進事業「美術館における聴覚障害者の鑑賞環境整備事業」により『聴覚に障害のある人たちの美術館へのアクセス向上を目指して-美術館関係者のみなさんへ-』を発行・公開。
聴覚に障害のある人たちの美術館へのアクセス向上を目指して:
http://art-sign.ableart.org/wp-content/uploads/2020/06/615f942f922e61077fc1a18bcca18232.pdf
・2019年/2021年/2022年 六本木アートナイト「インクルーシブ・ツアー/インクルーシブ・アート・プログラム」企画運営
(主催:六本木アートナイト実行委員会/文化庁・港区・美術館等)
六本木アートナイト2022 公式サイト:
https://www.roppongiartnight.com/2022/inclusive.html
障害のある人の「ために」ではなく、障害のある人やさまざまな人と「ともに」活動することで、関わる人や参加者が協働で体験を分かちあい、それぞれが学びを得ることを目指した企画。これまで、六本木アートナイトの会場を巡るツアーや、オンラインで鑑賞を楽しむプログラムを実施。
・2021年/2022年
令和3年度および令和4年度 文化庁障害者等による文化芸術活動推進事業「〜いつでも、だれでも、どこへでも〜『ミュージアム・アクセス・センター』設立事業」。障害のある人と芸術文化施設等をつなぐための課題を調査し、活動に必要な仕組みやシステム開発を試行。同時に、さまざまな障害のある人と協働し、展示やプログラムを楽しむ方法や、より過ごしやすい環境づくりに向けた試験的な実践に取り組む。
→ みんなでミュージアム(通称:みんミ)
事業設立の背景
ミュージアム等からの、「障害のある人の鑑賞・利用」に関する相談が 2016 年以降増加。
2016年 障害者差別解消法の施行…不当な差別的取り扱いの禁止、合理的配慮の提供
2018年 障害者文化芸術活動推進法…文化芸術を鑑賞する機会の促進。障害のある人もない人も分け隔てなく文化芸術活動を行うための場づくり、環境整備が一層求められ、鑑賞や創作活動の場となる施設では、障害特性に応じた合理的配慮の在り方や文化芸術を活用した共生社会に向けて取り組む必要が生じている。
(参考:公益社団法人 全国公立文化施設協会『劇場・音楽堂等アクセシビリティ・ガイドブック』)