ロゴマーク:みんミ みんなでミュージアム

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目次:活動の記録

【活動紹介】コーディネーターとの実践報告〜さいたま市大宮盆栽美術館〜

  • 報告レポート

2023.02.08(水)

みんなでミュージアム(愛称:みんミ)は、ミュージアムが抱える状況に左右されず、障害のある人のミュージアムに行きたい、プログラムに参加したいという思いを実現するために、当事者のコミュニティとともに、アクセシブルな環境形成や鑑賞を楽しむ方法について検証と記録に取り組んでいます。

コーディネーターの実践では、ミュージアムとコーディネーターが協働して、障害のある人が気軽に楽しみやすいミュージアムのプログラムや環境を作ることに取り組んでいます。

ミュージアムの人たちは、障害のある人にもっとミュージアムに来てもらいたいと考えています。実際、障害のある人に来てもらうきっかけとして、障害のある人に向けた特別なプログラムを企画するミュージアムも増えています。
しかし、予算や人員が厳しい状況の日本のミュージアムにとって、特別なプログラムをたびたび準備するというのは、実はなかなかむずかしいこと。
障害のある人にとっても、特別なプログラムの日に行くとなると、がんばって予定を調整する必要があり、自分の好きなタイミングで行けるとは限らない。

どちらにとっても負担や無理がなく、心地いい状況になるために、みんミのコーディネーターができることは何だろう……

そう考えた時に思い浮かんだのは、「ミュージアムが普段から実施しているギャラリートーク、ワークショップ、展示などに、ちょっとした配慮や工夫を提案して、いつでも障害のある鑑賞者とともに楽しむことができるようにする」ということでした。

さいたま市大宮盆栽美術館では、学芸員によるギャラリートークの中でたびたび実施している「体を使って盆栽を鑑賞する」という方法を、視覚に障害のあるコーディネーターとともに体験し、一緒に楽しむ工夫を考えました。

 

学芸員が準備してくれたのは、両手におさまるような小さなサイズの盆栽いろいろ。コロナ禍以前、小学生が見学で来た時に、さわって見てもらっていた盆栽とのこと。盆栽をさわっていると「器の手ざわりがいい」「あれ、幹に何か巻き付いている」と、どんどん言葉が出てくるコーディネーターの二人。そんな言葉から「盆栽は木だけでなく、どんな器なのかも大事なところ。実は…」「針金を巻いて、木を思う形に育てていくんですよ。ほかにも…」と、学芸員から自然な解説が始まり、盆栽の形や感触を知るだけでなく、鑑賞のために必要な知識も少しずつ深まっていきました。

そして、いよいよ体を使った盆栽鑑賞。屋外にある大きな大きな盆栽の形を、学芸員を中心に言葉で表現しながら、自分の体を使って真似します!

「こ、腰にくる」「スクワット?空気椅子??」「そんなの無理~」と思わず声が出る一同…しかし、自分の体を使うことで、木のどこに重心があり、どこにどんな力がかかっているのか、体感として知ることができたのでした。

全体を振り返って、コーディネーターからは「最初に小さな盆栽をさわってから、大きな盆栽を見るという流れがいい。盆栽の形が立体的に理解できてから、言葉での描写を聞くとイメージしやすい」「さわったり、体を使ったりすることで、言葉だけに頼るのでなく感じられるところがいい」、学芸員からは「見える、見えないを超えて鑑賞できる手ごたえがあった」とのコメントが。最初の一歩として、いい感触です!

写真:井上幸子
レポート:梅田亜由美(みんなでミュージアム プロジェクトメンバー)