ロゴマーク:みんミ みんなでミュージアム

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目次:活動の記録

【活動紹介】パートナーとの実践的な協働の取り組み 〜3人で鑑賞しよう!編〜

  • 報告レポート

2023.02.08(水)

みんなでミュージアム(愛称:みんミ)は、ミュージアムが抱える状況に左右されず、障害のある人のミュージアムに行きたい、プログラムに参加したいという思いを実現するために、当事者のコミュニティとともに、アクセシブルな環境形成や鑑賞を楽しむ方法について検証と記録に取り組んでいます。

パートナーとの実践では、実際にミュージアムへ行きたい障害のある鑑賞者とパートナーが、ともに鑑賞を楽しむ試みを実施し、どんな人材を育成する仕組みが必要なのか検討しています。
今回は、自閉症のある智美さん、智美さんと交流のあるヘルパーのたき子さん、ミュージアムでコミュニケーターの経験があるパートナーのよしこさん。3人での鑑賞のご報告です。

立春を過ぎ、お出かけ日和の日曜日、雲ひとつない青空のもと、JR上野駅で11時に待ち合わせしました。1時間ほどかけて電車に乗ってきた智美さんとヘルパーのたき子さん。
智美さんとパートナーのよしこさんは事前にプロフィールを交換していましたが、お互いに初対面です。少し緊張しつつパートナーのよしこさんが、「よろしくお願いします。」と智美さんにポストカードを手渡されました。
「今日は一緒に博物館で展示を見てお話ししましょう。」というご挨拶と、呼んで欲しいニックネームなどが書かれています。ポストカードの絵柄は、ルノワール。
智美さんのプロフィールに、昔好きだった、と書いてあった作家です。智美さんは、ポストカードに書かれた文章を2度読み上げて、自分のバックにしまいました。

3人で早めのランチタイムを過ごし、お腹がいっぱいになったところで、いよいよ鑑賞がスタートします。場所は、事前にパートナーのよしこさんがあげた候補の中から智美さんが選んだ国立科学博物館です。

博物館には、いくつもの展示室があり、1日では周りきれないほど展示が充実しています!家族連れで賑わう館内でしたが、何度か訪れたことのあるパートナーのよしこさんのご案内で、大きな恐竜の骨格標本、様々な動物の剥製、多様な鉱物などを次々と見てまわります。

智美さん、ヘルパーのたき子さん、パートナーのよしこさんは、「みてみて、これすごい!…」と3人で同じものを見たり、ペアでお話ししたり、時には1人で過ごしたり、それぞれ声をかけ合いながら楽しみました。

常設展で2時間くらい過ごしたとき、人混みの中で悲しい記憶を思い出した智美さん。
ちょうど3人とも疲れてきた頃でした。一度、屋外のベンチで休憩を取り、智美さんが日課にしているウォーキングを一緒にすることができました。
もう帰ろうか、という声も出ましたが、疲れたらすぐに出ようと決めて、前から見たいと予約していた特別展に向かいました。

特別展のミュージアムショップを堪能すると、あっという間に16時過ぎに。
駅への帰り道、やはり辛そうな表情の智美さんと、隣を一緒に歩くヘルパーのたき子さんとパートナーのよしこさんでしたが、公園でライブペインティングしている人を見かけ、足を止めます。スプレー缶を使って、徐々に出来上がる絵を3人で見入っていました。

今回の実践が終わったあと、パートナーのよしこさんからは、「楽しかった。今度は同じ趣味のパン作りの話がしたいです。」と、感想をいただきました。

今回の実践のように、一緒に過ごすといろいろなことが起きます。鑑賞したい人とヘルパーや、パートナーがミュージアムで出会い、コミュニケーションを深めていく機会は、個々の過ごす時間をとても豊かにしてくれると感じます。

今後、こうした活動を、もっと気軽に続けるための仕組みや方法を具体的につくっていきたいです。
関心のある方、同じ想いのある方、ぜひ「みんなでミュージアム」の活動にご一緒しましょう!

写真:大島 彩
レポート:平澤 咲(みんなでミュージアム プロジェクトメンバー/エイブル・アート・ジャパン)