ロゴマーク:みんミ みんなでミュージアム

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目次:活動の記録

【活動紹介】共通言語としてのアートが生む新しいつながり〜愛媛県美術館「オンライン鑑賞会」の実践

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  • 報告レポート

2025.02.15(土)

2025年1月、愛媛県美術館と協働して、オンライン鑑賞会「アートカードゲーム」を試験的に実施しました。

「みんなでミュージアムシンポジウム2023」の参加者だった愛媛県美術館。同館からの「みんミとの協働に興味がある」との回答がきっかけとなり、今回のつながりが生まれました。愛媛県美術館では、視覚障害のある人への鑑賞サポートや、「えひめ視覚障がい者とつくる『みることを考える』プロジェクト」を行っています。

みんミが目指すことのひとつに、「ミュージアムがフットワーク軽く、大きな負担に感じない方法や工夫で日常的なプログラムをアクセシブルなものに変えていく」ことがあります。その考えのもと愛媛県美術館と打ち合わせを行いました。美術館で作品を見たいけれど、実際に美術館に行って作品を見ることがむずかしい事情がある人たちが、自宅や普段利用している施設などリラックスしていつも通りに過ごせる場所で、作品を気軽に楽しんでもらいたい、という思いから、今回の取り組みが生まれました。

愛媛県美術館アートカードは、学校の授業などで楽しく遊びながら鑑賞してもらうことを目的として、愛媛県美術館の所蔵作品100点より作成されたものです。「アートカードゲーム」はこれまで対面で実施されてきましたが、オンラインで実施するのは今回が初めて。そのため、本鑑賞会を試験的実施と位置付け、今後の愛媛県美術館での継続的な実施につながるように、鑑賞会の終了後には、よかったことや提案など、参加者の気づきを共有する時間を持ちました。

当日使用したアートカード。愛媛県美術館アートカード」より選抜されたカード20点。古今東西の美術作品の図版が印刷されている。参加者には事前にカード一式が郵送された。

当日は、美術館から相談・お声がけした人をはじめ、みんミのパートナー3人、コーディネーター1人を含む合計13名と1団体が参加しました。

以下、精神障害の当事者であるコーディネーター・天水みちえさんのレポートをご紹介します。

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コーディネーターとして参加した天水です。今回のプログラムに参加してみて、とても良かったなと思ったのがアートカードを使って行うため、システム上、zoomのカメラをオンにしなくてはいけなくて、中には恥ずかしい方もいたかもしれませんが、参加者みなさんが顔だしをする形になり、みなさんの楽しそうな表情や真剣にカードを選ぶ顔などを拝見しながらプログラムを進められたことです。

普段の生活をしていると知り合わないような多様な障害のある方や様々な地域から参加した方たちがアートを共通言語にして、穏やかに発言し、そこには柔らかい空気があり、自分にはない色んな視点からの意見がでていて、それを聞く時間は新鮮でとても楽しかったです。

自分以外の障害のある方と関わることで他の障害についても考えたり受け入れる心の部分が広がったと思います。

また5人ぐらいのグループで参加されている方々もいて、わいわいみんなで話し合っている姿や発表が苦手な人の代わりに違う人が意見したり、グループ内で助け合いが自然とうまれていて微笑ましく思いました。

鑑賞会のあとのフィードバックの時間もほとんどの参加者が参加に協力して下さり、活発な意見交換ができて良かったです。なかでも、「ファシリテーターが意見を聞くときに『パスしても大丈夫ですよ』と声がけすることで参加者のリラックスを引き出してあげられる」という意見は今後の自分の活動でも使っていけるなと思って記憶に残っています。

普段の生活では、聞きたくなくとも他人を非難したりする声も色々と入ってきます。しかし、こういったアートのプログラムに参加すると、そこには誰も否定や非難をしない世界があり、自分とは異なる人の意見をきちんと聞き、面白いなと受け入れ、他者への理解を深めるのにとてもいい機会になり、終わった後はとても満ち足りた優しい気持ちになりました。

来年度、プログラムを計画中ということなので、今回参加してみてとても楽しかったので継続して、関わっていけたらなと思っています。また、そこで色んな方々に再会したり、新しく出会えたりするといいなと思っています。

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コメント寄稿:天水みちえ(ミュージアム・アクセス・コーディネーター)
執筆・編集:梅田亜由美(みんなでミュージアムプロジェクトメンバー)、みんなでミュージアム事務局