ロゴマーク:みんミ みんなでミュージアム

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目次:活動の記録

【活動紹介】特別展「江戸の暮らしと江東の漁業」手話付きミュージアムトークの感想〜 中川船番所資料館〜

  • 報告レポート

2024.02.29(木)

みんなでミュージアム(以下、みんミ)は、障害のある当事者コーディネーターとともに、ミュージアムとの環境づくりに取り組んでいます。この度、東京都江東区の中川船番所資料館にて、初めての試みとなる手話通訳付きの特別展ミュージアムトークが開催されました。みんミは、実施までの手話通訳とのやり取りや、広報先、受付の方法などに協力しました。

当日のレポートを、みんミのパートナー吉村さんに執筆いただきました。

中川船番所資料館の外観。赤茶色の建物で、木の板に資料館の名前が彫られている。

はじめに

はじめまして、みんなのミュージアムパートナーの吉村と申します。大学生の頃から手話を学んでいます。また最近では音声ガイドの講習などにも参加しています。美術館やギャラリー巡りなども好きで、アートとアクセシビリティの関わりに関心を持っています。

今回は、江東区中川船番所(なかがわふなばんしょ)資料館で2024年1月20日(土)に行われた「江戸の暮らしと江東の漁業」、手話通訳付きミュージアムトークについてレポートを書きます。今回のイベントでは、みんミの活動にコーディネーターとして参加しているろう者/難聴者の2人が参加。当日にイベントの振り返りを行いました。

資料館では、月に1回程度、職員による展示解説(ミュージアムトーク)が開かれています。今回、初の試みとして、手話通訳付きの展示解説を行いました。この手話通訳付きの解説は、来期以降の特別展などでも続けていく予定だそうです。

ミュージアムトークの話に移ります。解説をされたのは、資料館の上村(うえむら)さんです。ミュージアムトークのアクセシビリティに課題を持っており、みんミ事務局に相談したそうです。当日は、地名や漁業で使う用具の名前などを紙にルビつきで印刷。目で見て情報を得られるよう工夫をされていました。用意されたフリップは50枚とのことです!通訳者は、アート関係の通訳経験もある方をみんミ事務局が依頼されたそうです。漁に使う道具の説明では、手話通訳があることでとてもわかりやすかったと思います。道具の使い方が目で見て分かります。手話がわからない耳が聞こえる参加者も、その表現に魅了されていたようです。事前に展示内容を確認していたこと、そして、手話通訳技術の賜物だと思います。

それから、ミュージアムトークの参加者には、コーディネーター以外にもろう者/難聴者の参加者が複数人いました。こうした手話通訳つきのイベントを企画しても、ろう者/難聴者にきちんとイベントの情報を届けられず、ろう者/難聴者の参加者が0~1人…といったことも、よくあります。今回のイベントでは、「江東区聴覚障害者協会」「江東区中途失聴・難聴者友の会」に資料館から案内(メール)を送ったそうです。資料館のある地域についての話ですので、地元のろう者/難聴者の参加はとても喜ばしいことだと思います。また、美術館での手話通訳つきトークイベントも増えてきましたが、資料館での実施はまだ少ないため、その点も非常に良かったです。

ミュージアムトーク中の写真。イーゼルにフリップを載せて説明している、その横には、手話通訳士。

これからに期待したいこと

トークイベント後の振り返りからは、今後に期待したいことがみえてきました。まず、ろう者のコーディネーターからはトーク時の説明で使われているフリップについて、文字の説明が多いので、イラストや地図、道具の写真が必要という意見がありました。この点は、ミュージアムトークに参加していて私も同じように感じておりました。

また、喜ばしいことですが参加人数が多いため、展示室内が少し手狭になっていました。そういった背景もあり展示品を見ながらトークを見る/聞くといったことはできませんでした。会場の広さを変えることは難しいですので、「説明を見る/聞く時間」と「展示を見る時間」を分けると、より楽しむことができると思います。

コーディネーターからは、クイズなど双方向のコミュニケーションがあることが、こういったトークイベントの醍醐味(だいごみ)だと話しがありました。また、牡蠣の貝殻を漆喰(しっくい)としてリサイクルする話。そして、寿司屋の店名などでよく使われている「江戸前」が地名(江戸湾の海岸の名称)だという話が面白かったという感想がありました。

資料館の職員さんからは、「きちんと説明することで手一杯になってしまっていた。肩の力を抜いて、お客さんの反応を見て臨機応変に変えるといった普段通りのやり方でできるようにしたい」という気づきの場面がありました。

初めの一歩はわからないことだらけで難しいものだと思います。次回は、今回の反省も活かしより分かりやすい方法で説明してくださることでしょう。昔の生活や文化、風習などについて、より楽しい話を聞くことができるのではないかと思います。また手話通訳つきのミュージアムトークが開催される際、「中川船番所資料館」に足を運んでみませんか。

会議室の写真。四角にくっつけられた長机。10人弱の人がいる。

振り返りの時の写真。左に移っている2人がコーディネーター。奥のホワイトボードの前にいるのが説明してくださった上村さん。

実施概要

イベント名:特別展「江戸の暮らしと江東の漁業」手話付きミュージアムトーク
日時:2024年1月20日(土)1回目13:00~13:30、2回目14:30~15:00
場所:江東区中川船番所資料館(東京都江東区大島9丁目1−15)
都営地下鉄新宿線「東大島」駅下車(大島口)より徒歩5分
特別展の会期:
2023年11月 8日(水)から2024年5月12日(日)まで。月曜休館(祝日の場合は翌日)。

特別展「江戸の暮らしと江東の漁業」のチラシ

文:吉村