ロゴマーク:みんミ みんなでミュージアム

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目次:活動の記録

【レポート】第7回 オンラインプログラム「みんミの”わ”」

  • みんミの“わ”
  • 報告レポート

2024.02.16(金)

みんなでミュージアム(以下:みんミ)は、ミュージアムが抱える状況に左右されず、障害のある人のミュージアムに行きたい、プログラムに参加したいという思いを実現するために、当事者のコミュニティとともに、アクセシブルな環境形成や鑑賞を楽しむ方法について検証と記録に取り組んでいます。

告知用のバナー。タイトルと概要を記載している。

第7回(2023年度第2回)のテーマは、「みんなの失敗とモヤモヤから考える、ミュージアムとアクセシビリティ」です。

ミュージアムでの鑑賞体験や実践の取り組みから「モヤっとしたこと」や「うまくいかなかったこと」に焦点を当て、障害のある人やその支援者、ミュージアム関係者など、さまざまな立場の参加者の経験から対話を深めました。

まずはじめに、みんミの事務局スタッフから自身の経験や身近な事例を紹介するところからプログラムがスタート。プログラム運営時やコーディネーターとして働くなかで、実際に失敗したり、モヤっとした体験を参加者に紹介しました。

次にブレイクアウトセッションで数人のグループに分かれ、参加者同士で「モヤっとしたこと」や「うまくいかなかったこと」を共有。最後に各グループからでてきた体験談を3つずつ発表し、チャット欄で感想や気づきを共有し、プログラムが終了しました。

【みんミの“わ” 第7回】みんなの失敗とモヤモヤから考える、ミュージアムとアクセシビリティ

日時:2023年9月24日(土)14:00~16:00 オンライン(Zoom)開催
申込数:24名
<情報保障>
手話通訳:丸山垂穂、石川 阿
文字通訳:チームW・研修センター

プログラム画面のスクリーンショット。画面左側にバナーが映し出され、右側にファシリテーターと司会、手話通訳者、文字通訳が映っている。

今回は、参加者のみなさんに以下の4つの立場から体験したことをお聞きすることができました。

1、鑑賞者としての体験談
2、障害のある人の支援者・家族・友人としての体験談
3、プログラム企画・運営者としての体験談
4、ミュージアム関係者(プログラム運営者以外)としての体験談

本レポートでは、参加者の体験談の一部を、ご本人やミュージアム、企画等を特定されない範囲でご紹介させていただきます。

プログラム画面のスクリーンショット。画面左側に事例のサンプルが映し出され、右側にファシリテーターと司会、文字通訳、手話通訳者が映っている。

1. 鑑賞者としての体験談

■聴覚障害のある当事者の方:
映像と音を一緒に楽しむ作品を見に行ったときに、聞こえない人に対する展示の配慮がなく、聴覚障害のある当事者としては鑑賞を楽しめなかった。入場料に障害者割引はなく、一般料金での入場だったのに…。

■目の見えない人と対話型鑑賞会に参加した方:
視覚に障害がある人が、どうしても発言を遠慮してしまう傾向にあるように感じる。ファシリテーターが全ての人がバランスよく発言ができるように促せると良かったのかも。 

■聴覚障害のある当事者の方:
作品を鑑賞するときに音声ガイドを利用したが、全てを聞き取るのが難しいためテキストも借りたところ使用料金が通常の2倍の金額になった。渡されたテキストはコピーに印刷されたヨレヨレの束だったので残念だった。

2. 障害のある人の支援者・家族・友人としての体験談

■障害のあるお子さんのお母さんから聞いた体験談:
子ども向けの体験ワークショップに参加した際に、障害のある子どもに対しスタッフからの指示や声掛けが伝わらないという理由で、その場に存在していないような対応をされてしまった。その出来事に対し、お母さん自身も障害児の対応に慣れていない人(ワークショップ主催者やスタッフ)に対して、どのように説明すれば良いのかわからなかった。

■視覚障害のある人との鑑賞会に参加したガイドペルパーの方:
見えない人に対して作品を自分の言葉で説明するのが難しかった。伝える表現力を高めたい。

■視覚障害のある人との鑑賞を体験した参加者:
ミュージアムで視覚障害のある人と一緒に鑑賞した際に、作品の解説をしていたら、監視員の方に静かにするように注意されてしまった…。

■車いすユーザーの友人:
美術館によっては、車いすだと展示物が見えづらいこともある。

3.プログラム企画・運営者としての体験談

■美術館と連携した「多様な参加者を対象とした鑑賞会やワークショップ」の実践者:
手話通訳付きのプログラムで対話をする際に、手話がないまま会話が進んでしまい、聴覚障害者が会話についていけない状況に気づかずにやり取りが進んでしまうことがよくある。

■障害のあるアーティストの作品展の主催者:
視覚に障害のある人とガイドヘルパーが作品に触って鑑賞していたが、注意できなかった(作品を触るのはNGだったが、注意事項として明記していなかったため。

4.ミュージアム関係者(プログラム運営者以外)としての体験談

■美術館でのアルバイト経験のある参加者:
作品に触って鑑賞する展覧会で、通常の美術館とは異なる雰囲気で親子が楽しんでいる様子がとても良かった。子どもと一緒に来場したお母さんが、「いつもは子どもを連れてくるのは避けている」と語っていた。障害の有無にかかわらず、美術館に小さな子どもを連れて訪れること自体が難しい現状なのだと感じた。

■ミュージアムと連携した取り組みを企画する企業の方:
ミュージアム側も企業側も障害に対する知識やノウハウが不足していて、実際のところ何をどのように準備すれば役立てるのか分からない。

プログラム画面のスクリーンショット。画面左側に「チャットに記載する感想を考える」ことを促すスライドが映し出され、右側にファシリテーター、文字通訳、手話通訳者が映っている。

プログラムの最後には、参加者同士の体験を聞いて抱いた感想や質問を、Zoomのチャット機能を使用して書き込んでもらいました。皆さんじっくり考えて言葉にしてくださり、多くのコメントや熱意を感じるメッセージが寄せられました。

今回の「みんミの”わ”」は、幅広い立場の人が集まり、実際に失敗をしたり、モヤモヤした体験をオープンに話し合うことで、個々の立場によって抱えている課題や悩みの違いに気付き、お互いに考えを深めることができました。また、同じような出来事に遭遇したとき、自分ならこういう風に対応しているなど、異なる視点や解決策も聞くことができ有意義な時間となったと感じています。

終了後のアンケートでは、「モヤモヤについて共有するプログラムはなかったので、スッキリした。」、「モヤモヤが解決したわけではないがが、このモヤモヤを感じているのは自分だけではなく、同じことを考えている人たちが他にもいるということが知れて大きな収穫だった。」という感想や、「立場や背景を超えてみんなでプロジェクトを取り組んでいきたい、との説明からはじまり、画面オンオフなど心地の良い方法で参加OKなどの声かけは、参加者に安心感を与えたと思う。」といったお声もいただきました。

ご参加くださった皆さま、ありがとうございました。
みんミの“わ”はこれからも続きます!次回もぜひご参加ください。

レポート:渡邊 遥(みんなでミュージアム事務局スタッフ)

みんミは、活動をともにするパートナーとコーディネーターを募集しています。
障害のある人をはじめとする、ミュージアムに行きづらいと感じている人が、気軽にミュージアムにアクセスできる環境づくりや仕組みを、一緒に考えて、活動していきませんか?

以下のページより募集の詳細を見ることができます。ぜひご覧ください。https://minmi.ableart.org/news/boshu/2023/