ロゴマーク:みんミ みんなでミュージアム

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活動の記録

【活動紹介】当事者コーディネーターとの協働〜紅ミュージアム〜

  • 報告レポート

2023.12.05(火)

東京の南青山にある紅ミュージアムは、江戸時代に創業され、現存する最後の紅屋(べにや)である「伊勢半本店」が運営する資料館です。

「紅」は現代の化粧品の「口紅」のルーツといえるものですが、ミュージアムでは紅を作る工程や技術、化粧の歴史・文化について展示で伝えるとともに、紅を試しづけする体験プログラムも実施しています。

今回、紅ミュージアムとみんミが協働するきっかけとなったのは、2023年3月にみんミが開催したオンライン・シンポジウムに、紅ミュージアムのエデュケーターの方が参加したこと。アンケートに「みんミとの協働について関心がある」と書かれていたので、まずは「どのようなことをしたいのか」「どのような課題を感じているのか」についてヒアリングするところからスタートしました。

課題はいくつかありましたが、印象に残ったのは、このような内容でした。(以下、エデュケーターの方のメールより抜粋)


当館の常設展示のテーマは、紅づくりの技や紅にまつわる習俗と、日本の化粧の歴史なのですが、
特に前者の「紅づくりの技」は、黄色の紅花の花びらに僅か1%未満含まれる赤色色素を抽出し、精製して玉虫色の「小町紅」を作り、それを水で溶くと鮮やかな赤色が現れる、
という色の変化が肝のため、視覚障害者の方が来館してくださった時、
それをどう実感していただけばいいか、と以前より思っておりました。

ミュージアムが展示で伝える大切なポイントのひとつである、紅を作る過程での色の変化は、見えない・見えにくい人に伝わるのだろうか。あるいは、通常の展示やプログラムの中に、色以外の別の楽しみがあるだろうか。

4名で机を囲んで話しをしている様子

紅ミュージアムのエデュケーターの方から説明を聞く様子

この点についてヒントやアイデアを生み出す協働の場として、今回は視覚障害の当事者コーディネーターに紅ミュージアムの展示やプログラムを体験してもらい、楽しみ方を探ることにしました。

紅ミュージアム訪問当日。エデュケーターの方から、体験プログラムと常設展示の構成について説明を聞き、コーディネーターは興味を持った内容を、好きな順番で体験することに。最初に紅を溶いて塗るプログラムを体験し、続いて「紅を作る技」「江戸時代の化粧」などの展示資料を前に説明を聞きました。展示室では、普段のギャラリートークを少し工夫して、エデュケーターの方がさわれる資料をいくつか用意し、コーディネーターにさわってもらうという場面もありました。

紅猪口にふれる当事者コーディネーターの手元

紅を溶いて塗るプログラムを体験する様子1

紅を唇に点(さ)す当事者コーディネーター

紅を溶いて塗るプログラムを体験する様子2

造花の紅花を手に取る当事者コーディネーター

造花の紅花に触れる様子

3名で展示室のパネルの前に立つ様子

エデュケーターの方の案内を聞きながら常設展示を鑑賞する様子

体験を振り返ってのコーディネーターのコメントは
・紅を水で溶いたり、展示室で実物資料を触ったときの感触が面白かった。とにかくベタベタ触れるのはうれしい。
・紅花の香りがすごい。記憶に残った。
・最初「紅花にはたくさんトゲがあるから触らせることができない」と言われたが、あとで造花の紅花を触らせてもらい、形状を知ることができた。実物大なのでサイズ感もわかった。本物に近い手触りである必要はなく、素材はなんでもいいので形状を知りたい。見えない人はベタベタ触りたい。
・色のイメージは持っているので、色の情報はあってもいい。しかし、色を知るのはむずかしい。私にとっては紅(赤)がどんな色かということよりも、今日の体験から紅の色を好きになって、それをつけたい、関心をもてたということが大事。

というものでした。目が見えない・見えにくい人といっても、見えなくなった時期や、物事の認識の仕方などの違いによって、楽しみ方はいろいろ変わります。コーディネーターの体験も、目の見えない・見えにくい人の楽しみ方を代表するものではなく、ひとつの事例ですが、「視覚以外から感じる楽しさや、色そのものの理解よりも大事なことがある」ということは、紅ミュージアムの今後の取り組みを後押しする心強いメッセージとなったようでした。

レポート:梅田亜由美(みんなでミュージアム プロジェクトメンバー)
写真:©︎TOKYO TENDER TABLE

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