ロゴマーク:みんミ みんなでミュージアム

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目次:活動の記録

障害のある人もない人も、みんな一緒にたのしむゆったり鑑賞アワー@エスパス ルイ・ヴィトン東京

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  • 報告レポート

2025.03.28(金)

エスパス ルイ・ヴィトンさんから、みんなでミュージアム(NPO法人エイブル・アート・ジャパン)に、「多様な方々に展覧会を楽しんでいただく取組を行いたい」とお話があり、2025年3月に、障害のある人とない人と一緒にワークショップを作り上げるはじめての機会として、鑑賞会を企画しました。

東京・表参道の大通りに面したルイ・ヴィトン 表参道店の7階にあるアートスペースでの、オープン時間前の鑑賞会。スーツ姿のスタッフの方が入口の扉を開けて迎えてくださり、美術館や博物館と少し違う雰囲気でどきどき。アートをみんな一緒にたのしむとはどんな体験でしょうか?参加したみなさんの様子をレポートします。

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エスパス ルイ・ヴィトンは、フランス・パリの芸術文化施設「フォンダシオン ルイ・ヴィトン」のコレクションを紹介するギャラリーで、当日はアメリカ人アーティスト  ウェイド・ガイトンの日本初個展「Thirteen Paintings」を開催していました。

ギャラリーは見上げるほど高い天井にガラス張りで、空に囲まれているような非日常を感じるスペースです。

エスパス ルイ・ヴィトン東京 展覧会場 作品が並ぶ様子

旅行用トランクをルーツとするルイ・ヴィトンにちなんで、「鑑賞の旅のコツ」として様々な人と一緒に過ごすときのヒントを3つ共有しました。

・どこまでも自由に想像しよう(正解はありません!)

・ちがいを発見してたのしもう(感じ方、伝え方、コミュニケーション)

・作品への質問は鑑賞のあとで…

参加者は4~5人ずつ、計4グループになりました。鑑賞の途中、グループの中で分かれても、一緒に過ごしてもOKというゆるやかな分け方にして、自己紹介のあとそれぞれのペースで鑑賞をはじめました。

ギャラリーの中央で、各グループ輪になり自己紹介

今回は情報保障として「UDトーク(コミュニケーション支援アプリ)」を使用しました。声で話した言葉が文字として画面に表示されます。UDトークを使ってコミュニケーションをするグループは、聴覚障害のある参加者に教えてもらって、全員がスマートフォンにアプリを入れてみました。アプリの使用が初めての人もいましたが、ひとりひとり、次から次におしゃべりして笑いが起き、盛り上がっています。

作品の中央にある切れ目に注目し、 この隙間に入りたい…!と身振りを使って表現した参加者。好きか嫌いかという視点ではなく、この絵に入りたいか?入りたくないか?という新しい見方が生まれたようです。

スマホをマイクの様に使い、UDトークで話しながら対話する参加者たち

別のグループはすぐには作品の前に向かわず、なにか話している様子。どの作品をみるか相談しています。 弱視をお持ちの参加者が見てみたいものにしようか、という案がでます。でも、そうでなく別のもので良いという答え。そこで、アートにあまり詳しくないという参加者が1番気になっているものは?と案が出て、まずはその作品を見ることに決めました。

参加者が作品の前に近づいて鑑賞する様子

また、作品の表面に着目し、状況を細かく描写している参加者も。その描写に、視覚障害のある参加者が、「もしかしてリヒター(ドイツの抽象画家)に近い?」と質問します。描写した参加者は、驚きとともに、「思っていることが伝わってリアクションがあったことが、とても嬉しかった」とあとから話されていました。

ほかに参加者からは

・絵画って個と対話しながら見るものだとばっかり思っていた固定概念があったけれども、グループのみなさまと参加させていただいて多様な意見が飛び交って、自分には無かったものがどんどんどんどん自分の中に入ってくる感覚があった。自分の人生の中で非常にいい収穫だった。

・現代アートは好きか嫌いかよく分からないなとモヤモヤしていて、その感覚も楽しみながらいたんですが、今日はみなさんと話しながら思ってることを共有してると、自分のモヤモヤがまた新しい方向にいったりして、まだそれでもモヤモヤしているこの状態ってすごく楽しいなと。一人で感じているより、いろんな方のお話を聞けるのは素晴らしいなと思いました。

といった感想がありました。

ギャラリーの中央で円になって椅子に座り、感想シェア

参加者は、みんなでミュージアムのパートナー・コーディネーターにお声がけしたほか、ギャラリーのスタッフ、ルイ・ヴィトン社員、関連企業の社員、他館の学芸員、大学生など、異なる立場や状況で生活している人たちが交じり合っていましたが、みなさんの感想から、様々な人との鑑賞体験に没頭した様子が感じられました。

世界6か所にあるエスパス ルイ・ヴィトンでは、“Hors-les-murs(壁を越えて)”というテーマでコレクションが無料で公開されています。

国境や人種、そして障害やアクセスのハードルも、共に楽しみながら旅をしていたらいつの間にか超えているのかもしれません。

執筆:
平澤咲(みんなでミュージアムプロジェクトメンバー)

写真:
みんなでミュージアム事務局、
エスパス ルイ・ヴィトン東京
https://www.espacelouisvuittontokyo.com/

作品情報:
《Untitled》 2022年、ウェイド・ガイトン
Courtesy of the artist and Fondation Louis Vuitton, Paris

展覧会情報(会期は終了しております)
ウェイド・ガイトン「THIRTEEN PAINTINGS」展
会期:2024年10月31日〜2025年3月16日
会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京
住所:東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7階